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「団地の時代」

団地の時代 (新潮選書)

団地の時代 (新潮選書)

対話1に出てくる定期券の件は、郊外に住むものにとってはよくわかる話だ。滋賀県では、たとえば草津から京都まで片道400円もかかる。地下鉄やらバスやらを利用すれば、あっという間に往復1000円を超える。郊外にはない何かに出会うために都会に出たいが、その都度交通費1000円を取られるのは結構痛い。
同じく対話1では、団地の歴史について述べられている。「みんな同じ」を可視化したのが団地だという意見は興味深い。結局「団地の時代」とは、総中流意識、同質化礼賛の時代ではないだろうか。


対話4の最後、「これからは西武線が盛り返す」にあるような共同性の復活は、ちょっと前から言われていることだ。直接団地とは関係ないが、東京は福井になるなんてのも同じことだろう。かつての「団地の時代」とはまた質の異なった、「新しい団地の時代」が来るのかもしれない。


全体を通してなされる西武線と東急線の対比から、やはり自分の周辺の環境について考える。滋賀県では、駅前に新しく建設されるのはマンションだが、古い一戸建てを壊して作られるのは、新しい一戸建てである。使わなくなった農地を転用して建設されるのも、やはり一戸建てだ。私が最近気になっているのは、駅から遠い場所にある古い公営団地を取り壊して、一戸建ての住宅地が形成されることだ。いまさら自動車利用を前提とした街づくりなんて流行らないと思うのだが。
そう考えると、滋賀県は「今のところ」共同性は要らない、だから団地も要らない、一戸建てのほうが快適だ、ということだろうか。