京阪石山坂本線は必要なのか

京阪石山坂本線は、石山寺駅坂本駅を走る、いわゆる路面電車である。
石山坂本線は、毎年多額の赤字を重ねている。これは、JRと路線が重複していることが最大の原因といっていいだろう。途中、京阪石山と京阪膳所の両駅がそれぞれJR琵琶湖線に接続している。石山〜膳所間の運賃は、JRが140円、京阪が160円である。この時点で、まず石山と膳所を行き来する人にとって石山坂本線は不要となる。また、琵琶湖線沿線から石山、膳所に用がある人にも不要である。
しかし、この路線重複が功を奏している場合もある。皇子山駅もJR大津京駅と接続しているのだが、この大津京駅というのはJR湖西線の駅である。JR琵琶湖線沿線から大津京駅へ行くには、新逢坂山トンネルをくぐって山科駅で下車、そこで湖西線に乗り換えて長等山トンネルをくぐり、ようやくたどり着くのである。県内を移動するために、わざわざトンネルをくぐって一度県外へ出なければならない。そのため、JR琵琶湖線沿線から皇子山駅へ行くには、膳所で乗り換えて京阪を利用したほうが乗車時間が短い場合や運賃が安い場合がある。また、湖西線沿線から膳所や石山を目指す場合も同様である。
それでも赤字なのは、やはり路線重複の負の作用のほうがが大きいからなのだろうが、そもそも隣に京都市があるのに、大津市にいったい何の用があるんだ、ということも考えなければならない。
もうひとつ、赤字の原因だと思われるのは、起点駅である石山寺駅石山寺に近くはないということである。石山寺へ行くには、石山駅からバスを利用したほうが便利なのである。かといって、終点を石山寺のそばまで延伸したところで、それほど乗客数が伸びることも考えられず、ホントにどうしようもない状態なのだ。


そして、そんな京阪が取れる対策とは、これぐらいしかないのである。
昭和が走るビール電車
昭和レトロ・ビールde電車の運行


何もしないよりはマシなのだが、移動手段としての鉄道の需要をあきらめざるをえない状況なのである。このように風情とか懐かしさを売りにした時点で進む方向は決まっているのではないだろうか。